ネットワークエンジニアの仕事は、「繋ぐ」ことです。「繋ぐ」ということは、その先のコンピュータとの調整が必要になります。繋ぐ先のコンピュータが生きてはじめてネットワークが生きるため、ネットワークエンジニアにはその知識とスキルも必要になるのです。
そうはいってもそこまでに至るのは、年数もかかるものです。まずはネットワークエンジニアとしてネットワークに関する知識が不可欠です。WAN系、LAN系、そしてインターネット系に分かれます。WAN系とは主にITUで規格化されているもので、ADSLや高速デジタル回線などです。LAN系とは主にIEEEで規格化されているもので、無線LANやイーサネット、TCP/IPなどです。ネットワークエンジニアが従来扱ってきたこれらの技術に対して、最近はインターネットが広く普及しているためDNSやメール、WWWサーバなどIETFから発して業界標準化の促進を進めているものも守備範囲になっています。
これらの知識を活用するためのスキルとして、まず論理的思考が必要です。ネットワークシステムは決してそれだけで完結するわけではなく、その上に業務用のアプリケーションを動かすコンピュータシステムが構築されるのです。その一方で障害が発生すれば、まず真っ先にネットワークが疑われます。そこでネットワークエンジニアが問題の所在と解決法を明らかにするためには、正常であればどのようなばデータの流れや仕組みであるのか、その一方で障害が発生している時にそれがどう違っているのかという比較から手がかりをつかみます。そのためルーティングプロトコルや二重化のための仕組みなどを熟知して、一つ一つ手際よくチェックして行くスキルを身に付けなければならないのです。これは一朝一夕で身に付くものではありませんが、そのスキルが無ければ不用意に弱いネットワークを構築してしまったり、問題解決に時間が掛かり過ぎてしまうのです。
ネットワークを繋ぐ先との調整を行うためには、相手と話が通じなければ始まりません。従ってコンピュータ相互間のデータの形式や送り方、あるいは受け取り方や受け取った時の確認方法など、細かな取り決めであるプロトコルの理解が不可欠なのです。更に近年はグローバル化が進んでおり、クライアントによっては海外拠点とのネットワークを構築する場合もあります。それだけ大規模なプロジェクトになると、ネットワーク構築のためにいくつものサブプロジェクトに細分化して進めなければならなくなります。このサブプロジェクト間の調整も、プロジェクト全体から俯瞰的に眺められるプロジェクトマネジャーとしてのネットワークエンジニアが行う必要があるのです。