今やインターネットに繋がっていない時間は無いというぐらいに、社会全体がネットワークで繋がっています。従ってそのネットワークを担当するエンジニアには、繋がっていて当たり前というプレッシャーが、常に付き纏うようになっています。
ネットワークが一部の限られた人だけの閉じた世界であったのも今は昔、誰でもどこでもいつでも繋がるネットワークが当たり前のものとして受け入れられつつある現在、「単に繋がる」のではなく「安全に繋がる」重要性が格段に増しています。従ってネットワークエンジニアには従来通りのネットワークやプロトコルなどの知識だけではなく、セキュリティに関する知識が当然のように求められています。特に有線LANから無線LANに確実にシフトしつつありながら、無線LANを安全に使用するためのセキュリティ構築がこれからという現在の状況にあっては、そのための知識がより強く求められるのも当然です。
ネットワークでやり取りする情報も、豊富かつ多彩でありながら遅延が許されないという場面は増えており、QoSは標準的かつ外せないものとして使える必要があるのです。そしてネットワークエンジニアにはネットワーク全体を俯瞰して、問題が起きるのであれば考えられるのはどこでどんな障害かといったことに素早く気が付き、それを回避する策を練るという思考訓練が必要です。そのためにもTCP/IPの基本的な理解があれば、インターフェイスが異なっていてもその知識を利用できるため有効です。もっとも知識を本から詰め込んでも、実際の現場で使いながら繰り返し身を持って覚える他ないでしょう。
問題が発生してネットワークエンジニアがそれを解決するとしても、その顛末をクライアントに分かりやすく伝えなければなりません。便利さ快適さに慣れた消費者を日々相手にするユーザーにとって、ネットワークの復旧は一分一秒を争う重大事である場合も少なくありません。また何度も同じ障害が起こるようでは、そのクライアント企業そのものの信用問題にも発展しかねないのです。スピード化の時代にネットワークエンジニアの気苦労は、絶えないどころか留まることを知らないようにも思えます。しかしそれでも起きてしまった障害に対しては適切に対処した上で、クライアントにも一定の理解を求める必要があるのです。そしてこのような必ずしもネットワークだけに限定されない問題解決の過程を繰り返し経験しながら、他方ではクライアントや他のエンジニアとのコミュニケーションを工夫することで、幅広く高度なスキルと知識を持ち合わせたエンジニアに成長することができるでしょう。