IT分野のキャリアパスには、今後の技術革新次第で大きく変動する余地が含まれています。特に近年は仮想化技術が注目されており、ネットワークエンジニアとしてそのような技術に対応するキャリアパスを考える必要が、現実に生じつつあるのです。
一般的にネットワークエンジニアであれば、上流工程から下流工程まで仕事の範囲は多岐に及びます。従ってその全般を切り盛りするプロジェクトマネジャーを、一つの最終目標地点として設定する人も少なくないでしょう。そのためには下流工程から遡るような経験が不可欠になります。ネットワークエンジニアの仕事は、ネットワークを繋ぐだけで済むわけではありませんが、もちろん最初はネットワークそのものの知識が必要です。そして実際のところはネットワークの監視や保守業務の経験を積みながら、スキルとして存分に磨いて行く必要があるのです。というのもシステムを導入したクライアントがいざ運用を始めて、障害が発生した場合にまず疑われるのはネットワークの不具合です。そこでネットワークエンジニアが問題の所在を発見して解決に動くのですが、それは決して単純なものではありません。まずコンピュータ画面に即座にエラーが表示されるコンピュータシステム上の障害とは異なり、漠然とした「動かない」という状態から正常時と異常時の比較を行って、その違いを検証しながら障害の発生原因を突き止めるために、論理的思考が要求されるのです。そしてそのような訓練は実際の現場で覚える他になく、またその過程において必要な周辺知識を併せて習得して行くことにもなるのです。この段階で十分なスキルを身につけた後には、実際にネットワークを構築する段階へと移ります。もっともここで仕事内容に応じて勤務時間もどんどん長くなってしまい、ついつい自分の勉強のための時間を取り逃すという声も聞こえるのですが、その後のキャリアのためには短時間であっても勉強を続けることが大切です。こうしてようやく辿り着くことができるのが、プロジェクトマネジャーなのです。
このようなキャリアを積むために選ぶ働き方には、それぞれの考えがあるでしょう。例えば社内システムエンジニアという立場で、プログラミングから徐々に仕事の幅を広げながら、ネットワークを専門的に勉強することが出来る場合もあるでしょう。ともすればプロジェクトごとにあちこちの現場へ回されて、細切れな仕事の連続になりかねないSIerという働き方が標準的ともいえるエンジニアの世界ですが、敢えて派遣という働き方を選ぶことで、学習時間を確保しようと考える人もいるのです。